愛してるぜベイベ★★:全7巻

著:槙ようこのコミック、りぼんで連載していました。
お話は、女たらしの高校生「片倉結平」の家に、ある日イトコで5歳の「坂下ゆずゆ」が預けられるところから。結平はゆずゆの母親代わりとして日々苦労しつつも前向きに奮闘していきます。その一方で、女遊びをやめてから同級生の「徳永心」との恋愛一筋になっていくのも見ものです。
この作品で訴えたいことは幾つかあるようですが、総じて家庭問題なのかなと思います。ゆずゆは母親の蒸発によって片倉家にやってきていますし、心は両親との不仲で一人暮らしをしているので。ポップな絵柄や天真爛漫なゆずゆの態度の裏に、こうしたシリアスな側面があるのも見逃せません。
しかしやはり、このダブルヒロイン(?)と結平の距離が段々と近づいていく様子が楽しいです、ギャルゲーマー的には。ゆずゆは結平をはじめ片倉家の人々に囲まれて、そこに一つの生活を築いていきますし、結平を絶対的に信頼しているが故の笑顔ってのはたまらないものがあります。
一方の心の方も、最初に登場した頃は何だか冷めていて、結平に対しても当然ながら冷たい態度なのですが、結平の想いに少しずつ気持ちが揺らいでくるのが楽しいです。長い連載を掛けて壮大なツンデレを描いたようにも見えてきます…あれ、クーデレか?
あと結平は色々な「問題を抱えた人物」の問題を解決していくスーパーマン的な存在ではあるのですが、恋愛面ではどうもゆずゆと心の二人のうち、どちらに傾くのか…みたいな部分で序盤は読者のジレンマがあったのではないかと思われます。比較することのできない二人なのですが、序盤はゆずゆがやきもちを焼く場面もあったので。
エピローグの数年後が数カットありますが、成長したゆずゆを見て泣いた人は感情移入って点で合格ですね。
槙ようこの作品はこれしか読んでいないのですが、いい話なので是非とも読んでみてくださいと強く推しておきます。