放課後保健室:全10巻

著:水城せとなのコミックです。月間プリンセスで連載していた作品です。
お話は、上半身が男性で下半身が女性という高校生「一条真白(いちじょうましろ)」がある日、学内にある謎の地下室に連れて行かれ、そこで定期的に「授業」を受けながら、周囲の人たちと心をぶつけ合う思春期ダークファンタジーです。
ここで言う「授業」は、担当者から「卒業のために必要なこと」と説明されます。そして卒業すると、人々の記憶からその人物がぽっかり抜け落ちてしまうこともわかってきます。
真白と同じ授業を受けている人は数名おり、クラスメイトでクールな「水橋蒼(みずはしそう)」や男性恐怖症の「藤島紅葉(ふじしまくれは)」らとは、最初から最後まで付き合ってゆくことになります。
「授業」で夢の中に入り、現世とは全く違った姿で、決められたルール内で争った先にある卒業。真白は夢と現実の両面で戸惑い、多くの人に言葉を突きつけられ、悩みながら自分の本当の気持ちを探していきます。
単にオカルトに振り回されるだけではなく、様々な謎が少しずつ明らかになるので、つい読み進めてしまいますね。特に、「授業とは何か」「授業に登場する生徒の正体は誰か」という疑問はついて回りますが、最終巻になると半分くらいすっきりします。
心の内面に切り込む描写が多く、重苦しさすら感じる作品だとは思います。しかしメインキャラ3人のうち、誰か一人でも気になるキャラがいれば、読み進めるのはさほど苦ではないと思われます。
個人的には結構面白いと思いました。こういうのは好きなんです。
また余談ですが、本作の略称が「ホーホケ」となっていて和みました。