彼氏彼女の事情:20巻

カレカノも、ここまで長く続くとは誰が想像したでしょうか。帯に「最終回はLaLa6月号!!」という記述があるので、この二人を取り巻く人々のお話もいよいよクライマックス、ようやくゴールが見えてきたというところですね。
途中、「彼氏彼氏の事情」と言う感じで、有馬ばかりが出張っていた感じもしますが、この巻では雪乃の葛藤とかもキチンと描かれています。
前半は、有馬の父親、怜司によって「苦しみの連鎖」が語られます。前の巻などでも語られたことですが、有馬の家には昔から家人の仲が良くないという事実がまとわりついているのです。そして、有馬総一郎という一人の人間もまた、有馬の闇に取り込まれた者の一人。母親を憎いと思わないわけがありません。それでも有馬は母親を赦し、父親を誇りに思う、強い人間になりました。そんな総一郎の言葉で、怜司もようやく安心できたのだと思います。自分の息子は、こんなにも頼れる男になったのだと。そして、怜司自身も現在が幸せなのだと悟ったのだと思います。
「怜司編」が終わってからは、雪乃の妊娠を皆で真剣に考える段階になりました。周囲の人々は殆ど「それ」に気付いていなかったものの、母親にはしっかりバレていたり。これまでがシリアス一辺倒だった分、ようやくコメディタッチな部分が戻ってきた感じがします。特に、ご両家への報告のシーンは…有馬がバリバリ真剣なのですが、やけに笑いがこみ上げてきました。いや、男性がロマンチストで女性がリアリストってのは自然ですよ。
妊娠を告げた直後の有馬の反応が存外にナチュラルで、彼の成長振りが窺えるのが嬉しいですね。ここで前に戻ったら、また話がややこしいことになっていたはずですけど。得てして、こういう時に慌てるのは男だけで、女性は次のステップを考えている…というのが一般論ですよね。例えば、結婚式の面倒な手続きとか準備は、殆どの場合女性が駆けずり回ることになると聞きますし。
それにしても…この救われないとも思えたお話に光が見えてきたのは嬉しい限りです。LaLa本誌は読んでいないけれど、大団円で終わってくれることだけを祈っております。