おまけの小林クン:16巻

「小林クン」も最終巻ですか…長かったですね。森生まさみの作品では一番長く続いていましたし。…というか、ここで取り上げるのがいきなり最終巻ってあんまりですが、まあわかる人だけでも。
台風の朝、千尋の家にCDが、健吾の家にグローブが置いてあり、これは両方とも二人が大和に貸していたもの。いぶかしげに思っていると、健吾の家に吹雪が怒鳴り込んできます。それは大和がいなくなる予感に過ぎず、しかし確証はありました。自分のロッカーを片付けて別れの準備をするように。
その後、目つきの変わった千尋も含めて職員室の資料を漁った小林一同、燕先生の家に行ったところ、大和は紫陽花村にいるとのこと。台風で電話も通じず、交通手段もかなり制限された中で三人は紫陽花村に向かうことにします。
一方の大和は、家族の墓参りをしつつお爺さんの手伝いをしていましたが、土砂崩れでバスが埋もれたことを知ります。事前連絡の内容から、アレに三人が乗っている可能性が高いと思った大和は、通じそうな公衆電話に必死で向かいます。ここで人と人の縁を切るわけにはいかないと。
燕先生に連絡がついた大和、ますます不安は大きくなります。燕先生も現地に向かうことにし、聞き込みを行うことに。結局、ここで得た情報によって、直撃を受けたバスには三人が乗っていなかったことを知るのですが、大和のほうはまだこの情報を知らず。また一人になった…と、駅で一人絶望していたところに、時間は掛かったけれども到着した三人と鉢合わせます。
そして場面は変わり、大和の回想シーンへ。内容からするに、家族を失った運命の日なのですが、夢の中には「みんな」が出てきます。そして夢を過ごしていくうちに、失くした大切なものを思い出し、自分が一人でないことを思い出し…。
今はまだ一人ではなく、大切な人たちに囲まれた幸せな生活がある。だからまだ、家族たちと一緒にいくことはできない…「ボクは、オトナになりたい!」という主張は、前に歩み始めた大和の成長が見られました。
森生作品は結構好きなんですが、初めて読む人に「小林クン」はオススメしにくいかも。というのは、序盤のぽっぷんコメディと終盤の重さでギャップがあるので、途中から読む気を無くす恐れがあるからです。逆に重いのが好きな人は、序盤が退屈かも。「聖はいぱぁ警備隊」とかの方がわかりやすいと思います。