「悲愴」 / LUDWIG VAN BEETHOVEN

くたびれたので、しっとりした曲でも聴きましょう。今回は、ベートーヴェンの全32作のピアノソナタの中から、人気の高い『悲愴』をご紹介します。正式名称は「ピアノソナタ第8番ハ短調Op.13」です。
ベートーヴェンピアノソナタの中で、クラシックをあまり聴かない人でも耳に馴染んでいる曲の一つだと思います。またこうしたポピュラーな曲の中で『悲愴』は初期の作品ですね。
全3楽章での構成となっており、第1楽章のグラーヴェーアレグロ・ディ・モルト・エ・コン・ブリオは、重厚で悲しげな序盤を経て急激にテンポアップした中盤へ繋いでゆくのが印象的です。
第2楽章のアダージョカンタービレは、恐らく『悲愴』と言ってすぐに思い出す旋律ではないかと思います。コルダでも土浦の演奏曲の一つとして登場しますし。この部分は音が甘くて優しいですね。リストの『愛の夢』やショパンの『別れの曲』なんかに似た感覚があります。
第3楽章のロンド:アレグロは、親がピアノで練習していたので耳馴染みだったりします。特に序盤のスピード感がある部分は印象に残っています。そして走るだけ走った後、華やかな舞曲の趣を見せてくれます。
全体を通してみると、『悲愴』はどの楽章でも転調が多く、ドラマチックな展開を見せてくれます。