春をはこぶコンサートVol.8
伊藤恵(いとうけい)さんのピアノコンサートに行ってきました。場所はこの間も行った四谷の「紀尾井ホール」。私はこの伊藤恵さんをあまり聴いたことがなかったのですが、かなりオススメされたのでキチンと聴いてみようと思ったのです。
少しプロフィールを聞いた感じでは、シューマンを得意とするピアニストとのこと。シューマンと言えば私はロマンチックな曲調を思い浮かべるので、α波が出まくりのゆったりとしたコンサートになるだろうな〜と予想しました。結果を言ってしまえば、それは大当たりだったのですが。
内容はモーツァルト、シューマン、シューベルト。しかしどれも聴いたことがない曲ばかりでした。ピアノソナタなんてベートーヴェンくらいしか聴いていない不勉強な私ではこの程度です。
最初のモーツァルト、これは華があって軽やかな曲。実にモーツァルトらしい一曲だなと感じました。特に第1楽章と第3楽章では指が軽やかに動き、それでいて余分な力が入っていないという絶妙の技を披露していました。聴いていてゆったりできる内容でした。
続くシューマンは…もう言うことなしですね。これはCDを聴くなり、コンサートに行くなりして体感して欲しい内容でした。敢えて言葉で付け加えるならば、この曲については私の想像と違い、変幻自在な曲調でした。第1楽章と第2楽章では愁いを含んだ激しさがあり、第3楽章と第4楽章では子守唄のような「空白の美」といった印象を受けました。
シューベルトも、直前のシューマンを聴いていれば当然期待するってもので、見事にその期待に応えてくれた形になりました。個人的にはここが最もツボで、すっっごく心地よくなりました。
アンコールではショパンのワルツか? と思ったらマズルカが1曲、締めにシューマンの最高にロマンチックなメロディを響かせて終了。
今日は行って本当に良かったと思います。柔らかいタッチのピアニストを最近聴いていなかったこともあり、こんな名手に巡り会えたことに感謝します。ピアノに興味がある方、伊藤恵さんのシューマンは要チェキですよ。
セットリスト
- ソナタニ長調K.311(284c) / W.A.モーツァルト
- Allegro con spirito
- Andante con espressione
- Rondeau - Allegro
- ソナタ第3番ヘ短調Op.14 / R.シューマン
- Allegro brillante
- Scherzo Molt comodo
- Quasi Variazioni - Andantino de Clara Wieck
- Prestissimo possible
- ソナタイ長調D.959 / F.シューベルト
- Allegro
- Andatino
- cherzo Allegro vivace
- Rond - Allegretto
- encore