ヴァイオリン&ピアノデュオコンサート - オゥ・ジューヨン/呉恵珠

来月もヴァイオリンは聴きに行くのですが、その前哨戦のような形で行ってきました。私の主目的はピアノの呉恵珠(くれけいじゅ)ですが、ヴァイオリンのオゥ・ジューヨンは韓国の実力派らしく、そちらにも注目…というスタンスでした。
場所は初台にあります、東京オペラシティのリサイタルホール。オペラシティにはコンサートホールも別途用意されていて、私はそちらに行く機会が多かったので入場で間違えたりしていました。トホー。
さて、肝心のコンサートの内容について、結論から書いてしまいますが…非常に良かったです。呉さんのピアノを中心に聴きに行ったはずが、ヴァイオリンに引き込まれてゆくような演奏内容でした。
第1部ではまずご挨拶、という感じでした。愛の喜び&愛の悲しみは、もはやセットのような扱いを受けていることが多いですね。実際、対比させて聴くとなかなか面白いと思うので、是非とも両方を聴いておくべきでしょう。ベートーヴェンソナタは、第2楽章が凄まじくゆったりしていたので、α波が出まくりでした。
第2部は、人形劇界の鬼才と言われる平常(たいらじょう)さんが呉さんと競演。「サロメ」のストーリーは省略しますが、その中の一節である「7つのヴェールの踊り」を人形劇で披露するというコンセプト。因みにこの「7つのヴェールの踊り」についてはえろえろよーっなので、ここには内容を書きません。知りたい方はググれ。
ここでは人形劇の迫力がまず凄かったですね。題名から想像できる通りだと思うのですが、ヴェールを翻しながら舞台をのた打ち回るように動き回り、時に恍惚のため息をつく、迫力のステージングだったなと。そしてそれを盛り上げる呉さんのピアノも、当然ながら圧巻でした。声楽の伴奏を得意とする呉さんですが、上手い人は何にでも対応できますね。
そして第3部は、ヴァイオリンの技巧が爆発。正直、第1部の時はちょっと不安になっていたのですが、ここではサラサーテ作品の技巧を次々と再現していきました。特に、タランテラは聴いたことがなかったのですが実に良かったですね。そして改めて、ヴァイオリンの激しさはHR/HMに通ずるものがあると実感しました。
アンコールは定番曲をここで持ってきたか、という印象でした。まずは「チャルダッシュ」、これは主旋律がかなり有名なので聴いたことがある人も多いかと思います。私はヴァイオリンで久々に聴いたので、かなり興奮しました。
続いては何と、ビートルズの有名曲を披露。ここはピアノが実に魅せてくれました。私は最初の「ソ」を聴いた時点でガン泣きしてしまって、冷静に感想を述べるどころではありませんでした。何かが終わってゆく音のようで…。
最後の演奏の前に「本当はアンコール1曲のつもりだったが、拍手が凄いのでもう1曲演奏します」と告げて定番の「ツィゴイネルワイゼン」。やはり、この曲を生で見るのは楽しいです。私は中間部の哀愁に満ち溢れた部分も大好きなのですが、ヴァイオリニストとしての技量を見るのはやはり後半でしょう。特に、右手で弓を動かしつつ両手でピチカートを刻むところなんかは、実際に見ると唖然としますよ。あのぷきぷきした音を出すのにどれほど苦労しているか、程度がわかります。
もう今日は良すぎて…来月これを超えられるかが実に楽しみになってきました。

セットリスト

  1. 第1部
  2. 第2部
  3. 第3部
  4. encore