機関車先生

著:伊集院静の小説です。1994年の柴田錬三郎賞に選ばれた作品でもあります。
内容としては、瀬戸内海に浮かぶ小島「葉名島」の、児童が7人だけの小学校に一人の男性が新任教師としてやってくるところから始まります。彼は吉岡誠吾、子供の頃の病気が原因で喋ることができないのですが、大きな身体と優しい性格で子供たちを始めとした島民たちに受け入れられていきます。
誠吾が教える児童たちは個性的で、夢見がちな洋子、わんぱくな修平など様々ですが、皆が誠吾のことを慕い、身体の大きい誠吾に「機関車先生」とあだ名をつけます。
この作品は、そんな「機関車先生」こと誠吾と共に子供たちが様々なことを学んだり体験していく物語です。
とりあえず、私はでっかくて寡黙な人は好きです。誠吾の大きさを表す具体的な描写は少ないですが、島の大人たちより大きな誠吾は、小さな子供たちから見れば非常に大きな存在でしょう。
喋れないというハンデがありつつも、彼なりのやり方で授業に取り組んでいく誠吾のひたむきさが良いです。
私は伊集院静の作品はこれが初めてですが、優しい文体で心が温まるような話の運びに唸らされました。読んで損はない作品だと思います。是非、吉岡誠吾の優しさに触れてみてください。