いそっぷ童話集

著:いわきたかし、画:ほてはまたかしの童話集です。まぁ、ベタにイソップ童話を数編集めた本なわけなのですが、私的に気になるものが一つありまして。
「ありとせみ」という作品があります。私は「ありとキリギリス」は知っているのですが、こちらは知りませんでした。
概ねの展開としてはキリギリスと同じなのですが、せみが食べ物を恵んで欲しいと懇願し、最後には「利子をつけて返すから」とまで言うのですが、ありのおじいさんが「貸し借りなんて人間のすることだ」と突っ返してしまうのです。
由来を辿ると、元は「ありとせみ」で、こんな感じの展開だったらしいです。しかし日本に入ってくる際に改変がなされ、ありが食べ物を恵みつつもキリギリスを諭す話になったようです。
尚、「ありとせみ」には「夏は歌ってたんだから、冬は踊ったらどうだ?」とありがせみを突っ返すバージョンもあるそうで。いやー、恐ろしいですね。
ともあれ、イソップ童話には教訓が必ず含まれているので、道徳的観念を見直すために読むのも良いと思いますよ。今更のように思うかもしれませんが、意外と気づかないものが多いので。