アメリ

読んでからしばらく時間が経ってしまいましたが…。
著:イポリト・ベルナールの小説です。訳者など一部の情報が書かれていませんが、著者はフランス人ですかね。
あらすじとしては、モンマルトルのカフェ「二台の風車(ドゥ・ムーラン)」でウェイトレスをする女性アメリが、ふとしたことをキッカケに恋を始めるまでを描いた物語です。
アメリは小さい頃から空想癖があり、いろいろな物を見てはその生い立ちなどを考えるのが好きなようです。例えば物語の序盤、アメリが自宅のアパートで古い玩具箱を見つけた時、以前住んでいた人がどのような思いでしまっていたものか…と想像したりします。
尚、著者をモデルにしたと思しき登場人物として、売れない小説家のイポリトが登場します。イポリトは物語の最後に、アメリを主人公にした物語を書こうと言っていたので、それが本作であるという位置づけと見られます。
本作の冒頭では、このイポリトが書いた没原稿をアメリが読むシーンがあるのですが、

君がいなければ、僕の今のこの思いは、ただ過去の感動の抜け殻にすぎない。

この言葉に対してアメリは考え続け、その答えを何らかの形でアメリが出したような終わり方をします。作品を読み終えたら貴方も考えてみて…という、著者からの挑戦のようにも思えてきて、なかなか面白いですね。
それと、私的に気になったポイントとしては、カフェの女主人であるシュザンヌが言う「恋のレシピ」。

材料は、常連客の男と女を一人ずつ。どちらも特定の恋人がいないこと。
まずは、お互いに相手が自分に好意を持っていると思わせる。
あとはとろ火でゆっくり煮込んでいけば一丁あがりさ。

私にはこういうセンスがないのですが、フランス人はお洒落ってことですかね。