半分の月がのぼる空:7巻

著:橋本紡ライトノベルです。本編は6巻までで完結しており、この7巻はショートストーリー集といった感じになっています。
全4編で構成されていますが、個人的に最も気に入ったのは「君は猫缶を食えるかい?」です。裕一、司、山西の3人が繰り広げる、異常な精神状態での戦いを描いたドラマ…というのは大嘘ですが。
本当のあらすじは、新作のRPGを手に入れた3人組が家にこもってプレー中、家の食糧が底を尽き、偶然発見した猫缶を使って作った料理を食べるかどうか葛藤する内容です。
基本的にバカ路線なのですが、裕一が子供の頃に猫缶を食べさせられそうになったエピソードが何故か酷く哲学的で、興味深く読み進めてしまいました。
尚、他の3編はシリアス路線です。元々、著者が勢いのある爆裂ギャグを書くような人ではないので、これが自然とも言えるのですが。
巻末にはおまけコミックとして、多田さんを主人公にした作品があります。個人的には絵師の山本ケイジも好きなので、これは嬉しいですね。本編でも挿絵が非常に多く、その点でもなかなか良かったと思いました。