ハチミツとクローバー:全10巻

著:羽海野チカのコミックです。連載していた6年間のうちに、あちこちの雑誌を転々とする羽目になったようです*1が、コミックスはコーラスのクイーンズコミックスから出ていました。
あらすじは…一言でまとめるのが難しいのですが、美大生の「竹本祐太」が大学の先生の親戚「花本はぐみ」に出会って、そこから関係者の間で起こる様々な人間模様を描いています。
最初は竹本の先輩である森田や真山くらいしか出番がありませんが、話が進んでいくとそれぞれの人脈から話が展開していき、誰が主人公でもおかしくないドラマを繰り広げていきます。
その中心となっているのは「報われない恋」と「人生についての苦悩」だと思いました。特に、その二つが両方とも深く掘り下げられている竹本については、読者の共感も大きかったのではないかと思われます。
ただ、ドラマと言う意味では真山の人脈が最も人数も多く、濃い人材が集まっていたと思いますね。個人的にはあのクールさの裏にある青さが見事にハマりで、「徹しきれないワル」という見守られるべき立場が気に入っていたのだと思います。
真山も、彼を好きなあゆみも、何度も経験を重ねて傷ついていくうちに磨かれ、人間的に大きくなっていく様子がじっくり描かれているのが見所だと思います。
尚、タイトルはスピッツのアルバム「ハチミツ」とスガシカオのアルバム「Clover」から採られているのは有名な話であり、作者も途中で語っていますが、そのモチーフがまさか具体的な形で表れるとは…と、感心しました。
アニメ化に留まらず映画化も果たした作品ですし、いい作品だと思います。人間関係や自分の能力に悩んでいる人には、特にオススメします。

*1:CUTiEcomic→ヤングユー→コーラス