亡国のイージス

著:福井晴敏の小説です。私が読んだのは講談社文庫の上下巻でした。
物語は、ミニ・イージスシステムを搭載した護衛艦いそかぜ」を巡った、多くの人々の思惑や、何かを思う強い気持ちを描いています。
メインとなる人物は3人いて、1人目は「いそかぜ」艦長の宮津弘隆。2人目は「いそかぜ先任伍長の仙石恒史。3人目は「いそかぜ」一等航海士として配属されてくる如月行。
3人は立場も年齢も思惑も違い、それぞれの視点が移り変わりながら物語を進めて行きます。特に上巻の途中からは、最新の護衛艦である「いそかぜ」を巡って、誰がどのように動いていくのか目まぐるしく状況が変わり、とても読み応えがあると思います。
個人的にメインキャラの中で一番気になったのは、ベタでしょうけれど行でした。まだ二十歳そこそこで、世捨て人のように周囲を拒絶したオーラを放つ行。しかし自分の信念は曲げず、それに冷たいわけでもないところには惹かれます。
もちろん、護衛艦を動かすクルーは数多くおり個性に溢れているので、それぞれに魅力を感じることになるでしょう。
あとは、様々な兵器が登場する本作について、軍事マニアが放っておくはずもありませんので、周囲にそういう人がいれば話を伺いたいものです。