トッキュー!!:1〜17巻

原作:小森陽一、作画:久保ミツロウのコミックです。週刊少年マガジンで連載中です。
お話としては、20歳*1海上保安官で潜水士である「神林兵悟」が、特殊救難隊*2第3隊隊長の「真田甚」と出会いからトッキュー入りを目指し、全国の海難事故のレスキューをする姿を描く物語です。
私は海上保安庁に関する知識がほぼゼロに等しかったため、トッキューという組織の存在を本作品で知りました。原作者の小森陽一は潜水士モノの漫画原作を幾つも手がけており、コミックス巻末や質問コーナーでは、ためになる話が出てきます。
兵悟は常に前向きで正義感に溢れ、それゆえの無茶や失敗も多くありますが、とかく周囲の人々を惹き付ける何かを持った青年です。真田を含む海保の人々も、技術は未熟ながらも兵悟の才能に気づき、育てて行きます。
海難事故のレスキューを題材としているので、常に「できるか、できないか」の戦いがあります。海はいつも、予想通りに動いてくれるとは限らず、急な高波や霧で妨害されることもしばしば。兵悟たちはそうした悪条件にも負けず、人名を救助していきます。
作品としての山場だと思っているのは「漂流編」「ひよこ隊編」です。
前者は皆で海に遊びに行った際、子供を庇って二人で沖に流されてしまい、約2日間もの漂流を余儀なくされた話。人間が徐々に衰弱していく姿がリアルで、進行は静かながらもお話に引き込まれます。
後者はトッキューに入隊することが決まり、そこでの4ヶ月にわたる厳しい訓練生活がメインです。トッキューに指名されるのは各地の潜水士競技会で優秀な成績を修めた潜水士ですが、それでも辛すぎる訓練の数々。しかし、レスキューのために必要なスキルを身につけるため、兵悟たちは頑張っていきます。
一方で、佐世保の潜水士をしていた頃からの知り合い「橋本ユリ」との恋愛も脇道で語られていますが、両思いの割には進展があるようで殆どなく、ズコーとなります。
好きなキャラとしては、1巻から出てくる旧第3隊の3人ですかね。とりわけ、真田と高嶺。この二人はトッキュー2年目の兵悟の上司にもなります。ストイックな真田と、優しくも厳しい大きな存在である高嶺は、両者にそれぞれの魅力があります。
もちろん、登場人物のそれぞれに魅力はあるのですが、この2者が私にとっては特に、ということです。
また余談ですが、もしアニメ化するとしたら嶋本の声は二又一成、高嶺の声は江原正士が良いなぁと勝手に思っています。
剣も魔法も出てきませんが、そこには確かに男たちの戦いのドラマがあります。個人的にはオススメの作品です。

*1:作品開始当時の年齢。

*2:通称:トッキュー