月館の殺人:全2巻

原作:綾辻行人、作画:佐々木倫子のコミックです。月刊IKKIで連載されていました。
あらすじは、沖縄で育った高校生「雁ヶ谷空海(かりがやそらみ)」が、鉄道嫌いだった母の死後に現れた弁護士により、祖父からのメッセージを託されます。財産相続について話したいので、北海道まで来て欲しいと。そこで稚瀬布駅発の「幻夜号」で祖父の待つ月館へ向かうのですが…そこで殺人が起き、解明していくミステリーです。
空海は沖縄の「ゆいレール」も名前しか知らないという程、鉄道を知りません。一方で、幻夜号に空海と共に招かれた客が数名おり、彼らは全員テツ。空海は彼らとギャップを感じながらも、旅をしていきます。
上記の「テツだらけ」という背景には、IKKI編集部にテツが多く、かつて取り上げた「鉄子の旅*1」など濃い鉄道漫画が幾つかあることにも繋がるようです。因みに、登場人物も駅名などから取られているようですね。
佐々木倫子と言えば、以前にも取り上げた「Heaven?*2」のように、ひょうきんでありながら殺伐とした作風というイメージがあり、本作もそう感じ取れました。ミステリーだからガチガチに固いかと言うとそんなことはなく、軽快に読み進めることができたと思います。
空海は最初、月館というのが何かもわからないし、鉄道の話も車内で聞いて知識をつけていく感じですね。俯きがちですが素直な少女が、事件に真摯に向かい合うのが見ものです。
因みに、後で調べてわかったのですが、本作は原作小説がないんですね。しかし、ここまでの車内の描写は、漫画にこそ適していると思うので、そうだなぁと納得しました。

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