とっておきのセッション夜会〜一夜限りの極上のひととき〜

以前のエントリでも書きましたが、今日は川口リリアのメインホールにてコンサートが行われました。メインはアコーディオニストのcoba、ゲストが2名でヴァイオリニストの寺井尚子ソプラニスタ岡本知高でした。
演奏メンバーは3名、ギター・ベース・ドラムというバンド編成でした。その真ん中にcobaが立つ感じですね。
プログラムが配布されなかったので、大まかに、記憶の許す範囲で記述します。

第1部

まずはラテン系の元気なナンバー「時の扉」でスタート。続いてしっとりした曲でまとめます。この変幻自在なアコーディオンを使いこなす技量を、いきなり見られました。
そしてトークを挿み、私が最も良く知っている曲「過ぎ去りし永遠の日々」を演奏。これは「おしゃれカンケイ」で使われた曲で、ムードたっぷりの大人の曲です。
ゆったりとトークから入りつつ、ゲストの寺井尚子を迎えてのセッション。この辺りは具体的な曲が何をやったかうろ覚えなのですが…ピアソラのタンゴが非常に強力で、見事なバンドアレンジになっていました。その力強さに負けないヴァイオリンがまた格別です。

第2部

ゆっくりと立ち上がるように、cobaのソロからスタート。間には「ホワイトクリスマス」のフレーズなども加えて、夜の静けさのように締めました。
続いてニューアルバム「僕のエレキュート」より3曲。「my sweet trickster」「あしたね」「薔薇の冠」と、色の違う曲を続けざまに繰り出して、懐の深さを見せ付けました。
ここでゲストの岡本知高が登場。地声でこの高い声が出るのは、日本は当然ながら、世界でもいるかいないか…というところだそうです。
まずは「アヴェ・マリア」だったのですが…パッと作曲者名が出ない忘れっぷりです。通常はピアノ1台でまとめるところを、ドラムとアコーディオンで後ろを支える演奏となりました。
2曲目はプッチーニのオペラ「トスカ」から「歌に生き、愛に生き」が。オペラの曲を生で聴けるのはとても嬉しいですね。それが貴重なソプラニスタの歌唱となれば、一層その思いが強まります。この曲と「誰も寝てはならぬ」は、かなり涙腺を刺激しますよ。
3曲目は、曲名に勿体つけるような感じでしたが、演奏されたのはミュージカル「キャッツ」から「メモリー」。岡本知高の曲はこれで区切りになったのですが、その最後に相応しい、素晴らしい演奏でした。
コンサートのまとめとして、cobaとバンドメンバーによる「マイ・ウェイ」。ビッグゲストが去った後の余韻を、吹き飛ばしてしまうような生きのいい暴れっぷりで、会場を飲み込んでいました。

アンコール

coba寺井尚子を呼び「イタリアらしい曲で」と告げて始まったのは、最初なんだかわかりませんでした。静かだし特徴も良くわからないし、ギターとベースの8分刻みばかり耳についていたので。
しかし、アコーディオンとヴァイオリンが同時に曲を奏で出すと、これが「フニクリ・フニクラ」だということがわかりました。しかも、2人が入った途端に非常にアップテンポになり、別の曲のようになりました。
そして皆が良く知っているサビ(?)のフレーズが終わったところで、岡本知高がドラマチックに登場。2番の歌部分を、演奏に負けない声量で見事に歌い上げました。
エンディングというか、グランドフィナーレとも言うべき会場の盛り上がりでした。なかなか観たことがない、スタンディングオベーションもかなりありましたし。ここは、私もさすがに涙が出ましたね。

総括

cobaは「人に聞かせる」トークがあまり得意ではないようでした。テレビ出演した際にも、本人に悪気はないがゲストの機嫌を損ねる発言もあったとか。
一方で、ゲストの寺井尚子は今日あまり喋らないようにしていたのでわかりませんが、岡本知高の話は非常に面白かったです。トーク中心でも十分いけますね。
そして3人の演奏については、技量も知名度もビッグ3と言うべきメンバーが揃ったわけですが、岡本知高の演奏の後で特に大きい歓声が挙がりました。その場であの声に感動し、ファンになった人も少なくないのかもしれません。
バンドの3人も、個人的には非常に良かったです。コンセプト的にロック調の曲はありませんでしたが、ギターのフラメンコっぽい音使いには感心しました。
ここ最近は音楽に触れる機会もめっきり減ってしまったのですが、やっぱり音楽はいい、と再認識した夜でした。