D-WALK:全4巻

著:立野真琴のコミックです。花とゆめで連載されていた作品のようで、私が読んだのは白泉社文庫版。
あらすじは、トップモデルとして君臨する「江端正良(えばたまさよし)」を兄に持つ少年「江端高巳(えばたたかみ)」を主人公として、ただカメラに興味がある子供だった高巳がプロとなって周囲に自分の写真を知らしめて行くお話です。
正良は「セイラ」という芸名で活動しており、仕事では若くしてファッションモデル界では名を知らぬ者はないほどの人気振りです。そうしたこともあって、高巳は最初「セイラの弟」という評価が多かったのですが、段々と自分の写真で評価を得ていきます。
というのも、弟には厳しく見せているが実はブラコンの正良が、カメラの前で唯一リラックスした微笑を見せるのが高巳の前だけということがあります。あのセイラの表情を引き出した、として語られていくわけですね。
江端兄弟の両親は、正良が16歳の時に離婚はしないまでも別に暮らしており、父親はパリでモデルクラブの社長、母親は世界各地を飛び回るフリーライターです。そして正良は両親どちらにも頼らず自立することを決意したわけですね。この決意の重さこそが、トップモデルとしてのプライドにも繋がってゆくのだと思います。
関連する話として、作中のテーマの一つである「しのぎを削りあうモデルたちの姿」があります。たとえ話として「ダイヤはダイヤでしか磨けない」という言葉があり、これは高みを目指すならレベルの高いライバルたちと競うことが必要だというお話です。
表は華やかに、裏は過酷な仕事であるファッションモデルを見つめながら、高巳がカメラマンとしても、人間としても成長していく様子が良かったです。ショウビズ好きな方は是非。