薔薇のミルフィーユ

前作の「妹オーディション」ではメインシナリオが大きく進展しましたが、今回はサブストーリーの詰め合わせ的な巻でした。紅白黄それぞれの姉妹模様を描いています。
まずは黄薔薇のお話「黄薔薇パニック」です。令さまが日曜日にお見合いをすることになったらしい、ということで、由乃さんは有馬菜々と二人で、お見合いの会場と聞いているホテルへ向かう…という内容です。菜々は強気でしっかりしており、良い感じですね。これまでは妹が姉に勝てた例がありませんが、由乃さんを十分にコントロールできている気がします。その一方で谷中のおじいちゃんの息子さんについても周囲の評判は上々ですし、本当に由乃さんが振り回されるお話でした。
2つめは白薔薇のお話「白薔薇の物思い」です。「私たちって平和ね」という志摩子さんの言葉から始まる、ちょっと穏やかではない「事件」について、志摩子さんサイドと乃梨子サイドからお話が進みます。乃梨子はそこに居合わせた聖さまと話をするのですが、薔薇のカリスマにとらわれていない乃梨子は、聖さまの前で冷静でした。乃梨子やかつての祐巳の立場からすれば、聖さまのどこが良いのか…みたいな感情なのでしょうが。今後も聖さま乃梨子と絡む場面があるかどうか、楽しみなところです。
そして最後の3つめは「紅薔薇のため息」です。「試験休みに、二人で遊園地へ行きましょう」という祥子さまの提案から始まり、ずっとお流れになっていた遊園地デートがようやっと実現するところからですね。祥子さまという人は本当に、妹を持ってから優しくなりましたね。あと、祐巳のことをわかりすぎというくらいわかっていますし。お話自体が寂しげに終わるのも好きです。「ため息のミルフィーユ」とは上手いまとめ方ですね。
全編に亘ってお菓子が出てくるので、読んでいる時に凄く食べたくなりましたよ。で、あーミルフィーユ食べたいなぁ…と思っていたら、あとがきでも「無性にミルフィーユが食べたくなりました」とあり、誰でも思うことは同じかと安心しました。
ミルフィーユは「千の葉」という意味なので、本来は秋が似合うのかもしれませんが、私が好きなのは苺とカスタードを挟んだものです。…って、マリみてには何ら関係ありません。