ホイッスル!:全15巻

作:樋口大輔のコミックです。これもジャンプで連載していた作品ですね。
私が読んだのはこれも文庫版で、単行本では全24巻だったようです。文庫版はコンパクトで良いですね〜。後追いの読者にとっては助かります。
あらすじは、サッカーの名門校にいた中学生「風祭将(かざまつりしょう)」が、身長が低いために3軍におりサッカーが思うようにできず「桜上水」に転校してきて、サッカーをしていく中で技術や人間としての成長を描いていく作品です。
まずパッと見て、作者が「樋口大輔」という男名前なのに、やけに絵が少女マンガチックだなと思っていたんです。実際、作者は女性ですが、少年誌で女性作家が描くことに厳しい時代だったようで、素性を隠す意味合いもあったようです。
作中には美少年と思われるキャラも多数登場しますが、ミーハーにならず、将がサッカーをストイックに貫いていく様子を描いています。作者自身もかなりの勉強を積んだそうです。
気になったのは、女子でサッカーが非常に上手い「小島有希(こじまゆき)」というキャラが桜上水にいるのですが、彼女が女子サッカー部を設立した後の話をもっと詰めていけば、これはこれで面白い話になったのではないかと思います。
ただ、ここまで手を広げてしまうと本編が疎かになるため、限られた時間や紙面の中ではカットされるのも止むを得ない事情もあったのでしょう。外伝などで扱ってくれると面白そうですが。
個人的に好きなキャラは武蔵森の渋沢キャプテンなのですが、それとは別にシゲこと「佐藤成樹」も気になりました。ネタバレになりますが、最初は強力な味方で最後は主人公に立ちふさがるラスボス的な立ち回りをするのがしびれます。
ここからは若干話が逸れますが、「キャプテン翼」の頃の日本サッカーはブラジルの影響が濃くて、背番号10がチームの中心となり、ドリブルで敵を抜くFWが多かったように思うのですが、現代ではトップ下に構える背番号7が重視されていると聞いたことがあります。
近年では、ドイツW杯で中田英寿が日本代表の7番を務めましたね。ああいう場所から最前線へキラーパスをして、FWがダイレクトで決める…というような、ヨーロッパ式に変わってきている、と。
本作は主人公がFWで、他の有力選手たちより「技術的には劣る」部分があるため、将がそのひたむきさでチームを内から活性化させていく才能がクローズアップされています。
今後の日本選手にも、将のように粘り強いFWが出てくると良いですよね。高原や柳沢より一段若い世代でカリスマが生まれて欲しいと思います。