大逆転将棋2009

去年はあまりしっかり観ていなかったのですが、いつの年だかに観たので、今年は最初から最後まで観てみました。将棋は全然指さなくなってしまいましたが、観るのは面白いので。
大まかに番組のコンセプトを書くと、プロとアマが将棋で対局するのですが、プロ側に様々なハンデを課して常に緊張感のある勝負を演出しようというものです。
以下、簡単に内容・結果・感想を述べます。

風林火山

アマは81マスのうち4箇所に、地雷のようなハンデマスを仕掛けられます。それは手番が連続したり、相手の駒を取れるなど。アマはプロが指しそうな場所に罠を仕掛け、戦局を有利に進めるよう仕組みます。
ここでは、つるの剛士女流棋士を相手に地雷を2つ踏ませて有利に進ませ、二転三転しつつも最後は勝利を収めました。羞恥心でおバカイメージが強い彼ですが、将棋の腕前はかなりのものです。
やはりポイントとなるのは、最初に歩を突かせる場所に罠を仕掛けておくことのようですね。最低でも1個は引っかかります。今回はそのチャンスをあまり活かせていませんでしたが、それでも「地雷があるかも」と心理的にプレッシャーを掛けたことを上手く利用できていたかと思います。

T-1グランプリ

詰め将棋100問を4人が早解きする「つめわんグランプリ」です。ところどころで双玉の難問があり解答者を苦しめていきます。
ここでの勝者はプロ棋士でも随一の終盤力を誇る宮田五段。前回優勝の詰め将棋作家、柳田氏を抑えて見事な優勝でした。ちなみに終了時、柳田氏は76問目を解いている最中でした。
女流棋士と小学4年生の奨励会員も参加して30問目まで行ったのですが、終了後のインタビューで宮田五段は「30問目が非常に難しかった」と語っており、ここを突破した終盤力に感心しました。
(2009/01/10修正)
100問を解いて優勝したのは、宮田五段ですね。失礼しました。

脳内10秒将棋

ここはプロ同士のガチ勝負。いわゆる「目隠し将棋」で1手10秒という厳しさです。プロの盤面把握力を見るにはもってこいの内容です。
ここは佐藤棋王が藤井九段を制して勝利。穴熊から猛烈な攻めを講じた藤井ですが、前年も勝った佐藤の読みの深さには手を焼いた様子でした。そもそも1手10秒の早指しでもありますからね。

1分切れ負け将棋

ハチワンダイバーの終盤でもあった、1分切れ負け。これは、持ち時間が1分しかなく、それが切れた瞬間に負けです。1手10秒とかではありません。
名乗りを上げた早指し自慢の若手プロ棋士4人でトーナメントを行い、見事に勝ち残ったのは阿久津六段。1回戦は相手を切れ負けで破り、決勝戦では何と相手玉を詰みに追い込み、堂々の優勝でした。
対局終了までに最長でも2分となるので、指し手もおかしいくらい速いです。目隠しは目隠しでプロの凄さがありますが、1分切れ負けは頭の回転の速さに舌を巻く、エンターテインメント性の強い勝負になりますね。

ステルス将棋

これはルールが複雑なのですが、まずアマは普通に駒を並べます。そしてプロは、麻雀牌の裏面に将棋の駒を描いたものを並べ、裏返した時の陣形で戦います。
但しハンデがあり「行き所のない駒」「二歩のうち1枚」「逆向きの駒のうち1つ」はアマの持ち駒になります。
受けが堅い木村八段に挑むのは、ここまで番組で惨敗続きの矢崎滋。最初から飛車を手に入れるなど非常に有利でしたが、木村八段は隅にいた銀や桂馬を活かすなどしてミスを誘い、とうとう矢崎玉を詰ませてしまいました。
そして突如、エキシビション的に第2局も行われ、ここはアマ女流の方(名前は失念…)が羽生名人に挑みました。但し、ハンデの3つめはなしです。
ここは羽生名人が「さすがプロ」という無駄のない指し回しで、全ての駒を見事に使いこなして勝利を収めました。指せば指すほど陣形が羽生優勢に傾いていく様子は圧巻でした。

大逆転投了図対局

これは局面と対局者を変えて2局行われました。
まず第1局、深浦王位に阪神久保田智之投手が挑みます。局面は、去年行われた羽生vs森内の名人戦第5局。角番で森内名人が勝利を収めた時です。
結果は久保田投手の勝利。藤井九段のヒントもあり初手から2〜3手は思い通りに進んだのですが、途中でヒントと違う進み方になりました。しかし久保田は落ち着いて決め手を探し、勝利を収めました。
第2局は作家の逢坂剛が羽生名人に挑みます。場面は渡辺竜王が4期目を目指す第1局、佐藤棋王が果敢に挑むも投了した局面です。ここは即詰みの局面ではなかったのですが、逢坂剛がプロ並みの妙手を幾つも繰り出して粘りました。
しかし相手はさすが名人、羽生名人が最終的にはひっくり返しました。前年は内藤大助に惜敗したので、対局者や場面は違えどリベンジになりましたね。

総括

プロ同士の対局では、ある程度以上の実力がないとチンプンカンプンの場面も多く、妙手がどのくらい良い手なのかわからない、といったことも私はあります。しかし今回は解説も易しく、対局のおいしいところばかりを取り上げていたので、観ていて面白かったですね。
来年も覚えていたら観てみようと思います。トップのプロ棋士たちを観るチャンスでもありますからね。