りびんぐゲーム

著:星里もちるのコミックです。ビッグコミックスピリッツで連載していました。私が読んだのは「My First BIG Special」版なのですが、これには巻数が書いていないので全何巻だかわかりません…。
お話は、ナミフクDMサービスで働く主人公「不破雷蔵」が広めのマンションに引越したところから始まります。同時期にオフィスの移転があるのですが、移転先のビルが手抜き工事により入居できなくなり、急遽雷蔵の部屋をオフィスとして使うことに。
一方、社長の親友の娘である「氷山一角(ひやまいずみ)」がナミフクに入社するため上京するのですが、結局一角は雷蔵のマンションで暮らすことになります。本作は、彼らのイベントだらけの同居生活を中心に描いたラブコメです。
雷蔵は25歳で独身、一角は15歳という組み合わせ。更に雷蔵の部屋には、元カノである「兼森時子」が夫婦喧嘩でよく転がり込んできたりと、昼も夜も心休まる時がありません。
連載の時間経過と同じ速度で物語も進み、最終的には一角が18歳の誕生日を迎える辺りまで行きます。多感な少女の時期に様々な経験をして、自分は子供でいたいのか大人でいたいのかわからずに焦ったりします。
しかし本作のテーマは、当初から計画されていたかはわかりませんが、雷蔵と一角が模索しながら、時にはぶつかり合いながら自分たちの居場所を求めていくお話だと思っています。
雷蔵は自分の城に公的な空間を持ち込まれることで今後を考え、一角は15歳で田舎を飛び出してくるのですから、家の事情なども最初から薄々見えてくるわけで。そうした彼らが逆境に負けず乗り越えていく姿には勇気付けられます。
私自身も雷蔵と離れた年代ではなく、彼らの言葉には感じ入る部分が多々ありました。特に雷蔵と一角が口げんかするシーンなど、自分が言われているようでグサッとくる一言もしばしば。
正直、連載時期が時期だけに絵柄がちょっと古い感じは否めませんが、生活をリアルに描いた作品だと感じました。教訓もあったと思います。
当時とは経済事情なども変わっているとはいえ、人の悩みはいつも同じもの。それを雷蔵や一角と共有するのも、また良いのではないでしょうか。