天地人:第12回「命がけの使者」

景勝の陣営で兵糧不足であることがわかったところからです。腹が減っては戦は出来ぬ、という言葉通り大切な食料ですが、この時の兵の数からすると、持って半月という状態。これから景虎の攻撃を耐え切れるのか、不安な状態となりました。
当然ながら景虎春日山から下山する道を押さえており、兵糧を運び入れる場所がない状態です。おまけに、景虎は北条氏と書状のやりとりをしていることがわかり、つまり北条と結託して春日山を攻め取ろうという意図が見えてきました。
悪いことは重なるもので、北条から更に武田へと使いが行き、上杉を攻めるよう促されるのです。家臣の高坂弾正は同盟を結ぶべきと諭しますが、武田勝頼はかつてよりの宿敵を今こそ倒す時と意気込み、意見を退けるのでした。
こうした動きは景勝に陣営にも伝わってきます。かくなる上は打って出るか…という苦渋の選択をしかけたところで、兼続は最後の道が残されていることに気づきます。それは、謙信がかつて同盟を結んだ桑取に味方してもらうというもの。
景勝はこの博打のような取引に尻込みしますが、兼続は是非とも自分が説得して見せると強く頼み込み、景勝がその熱意に折れた形で承諾します。その条件として、三日以内に戻ること。それを過ぎれば景勝軍は討ち死に覚悟で総攻撃を仕掛けると陣営に伝えます。
かくして兼続は春日山を降りて桑取に向かいます。途中、足を挫いた老婆を助け、自分が桑取へ行くことを告げると止められますが、兼続の決心は変わりません。そして話し合いに刀は無用と、老婆に預けていくのです。
首尾よく桑取に辿りつく兼続ですが、突然背後から何者かに襲われ、気絶してしまいます。目を覚ますとそこは牢獄。桑取は兼続を歓迎していませんでした。当主の斎京(さいきょう)三郎右衛門と話をするも認められず、袋叩きに遭います。
それでも話を続けようとする兼続の前に、先ほどの老婆が。実は三郎右衛門の母だったのです。彼女は気絶した兼続を見やり、刀を預けて話し合いに臨んだことを桑取の皆に伝えます。
兼続の言う上杉の侍としての魂が通じ、桑取の軍勢が兵糧を携えて春日山に集結します。侍の心で強固に結ばれた味方を手に入れ、景勝らは祝杯ならぬ祝握り飯をいただくのでした。
その頃、北条の軍勢は北を目指していました。このルートでは最初に狙われるのが上田衆。兼続や景勝の故郷が踏みにじられようとしている…というところで終了です。
兼続の言葉で「人と人は話し合えば分かり合える」というのがあり、こうした思想から「愛」の兜の話に繋がっていくのかなと思いました。刀を持たず話し合いに臨んだのも、計らずも謙信がしたことと同じだったようですし、義の精神を受け継いだんですね。
戦場では人を殺すことが出来なかった「腰抜け」の兼続ですが、こうして皆を守る大きな力となっていくのがカッコいいと思います。
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