マイスター:全2巻

著:加地君也のコミックです。ジャンプで連載されていました。
あらすじは、新設校の「総海(さとみ)高校」サッカー部を県大会ベスト4に導いた「新岸頼歩(あらぎしらいほ)」を主人公に、彼のモットー「楽しんで勝つ」をチームメイトが体感していく作品です。物語は頼歩が2年生になり、新入生が入学してくるところから始まります。
本作はジャンプ伝統の「10週打ち切り」となったようで、作者の中では伝えたいことが多くあったのだと思われますが、表現する時間がなかった感がありました。
サッカー漫画として見た場合「楽しんで勝つ」ことが本当に可能か、といった検証は私にはできませんが、恐らくサッカーというのは手段の一つで、裏には教訓的なテーマがあったのではないかと予想しているのですが…。
総海の強さに関する部分でうやむやになってしまったのは、県大会の初戦で優勝候補のひとつ「黒嶺高校」を撃破し、最終回ではエピローグ的に決勝戦に進んでいること。第6話の冒頭で加藤記者が千葉4強について述べていますが、黒嶺の他にもう一校撃破していることになります。
ついでに言うと、加藤記者が挙げた4強に総海は入っておらず、昨年実績を見れば4強のうち一校は準決勝に進めなかったということになります。恐らくは、総海が番狂わせで倒したからでしょう。なのに総海は何故眼中になかったのか?
総海がとにかく強いってのはわかったんですが、その理由に関してはわからなかったという、説得力のなさがあったように思います。確かに監督の力、つまり頼歩の思想と練習方針は重要ですが、それだけでは勝てないだろうと思うので。
あとフリートークのページにも書かれていましたが、ギャグがかなり玄人向けでしたね。ドス・サントスもそうですが、アニメネタも全体的に狭い気がします。そんなわけで、ギャグをギャグとして受け取ってもらえなかったのかなと。すべり芸人みたいなことになってしまいました。
読みきり2作品も収録、あとアレキシ・ライホなどキャラ名の由来も全て明かされています。作者はかなりのメタラーですね、ヒブリアを普通に出してくる辺りが。個人的には、そこは非常に好ましかったです。