アスクレピオス:全3巻

著:内水融のコミックです。ジャンプで連載されていました。
内容は、ヨーロッパで教会が絶対的な権力を持っていた時代を背景に、「切り裂き魔」と呼ばれた少年「バズ・メディル・アスクレピオス」が活躍する物語です。バズは当時世間の理解がまだ得られていなかった「人体を切って治す」という治療法を持った医者です。
そんなバズを助手として支え、また教会に狙われる身なので護衛もする少女「ロザリィ・テレスフォス」と共に、各地の患者を治して行きます。その理由は、バズの先祖が「血命録(ビブロス)」を完成させた時に教会から異端者扱いされないという契約を交わしたためです。
バズは当時の医学ではおよそ不可能と思われることを次々と行います。初の手術では銃弾に倒れたロザリィを手早く救い、その後も患者を見かけただけで異変に気づき、手遅れになるまえに手術で治してしまいます。
その超人的な「目」の背景には、かつて父が行った手術を全て覚えていることと、左手にある通称「神の目」で常に患者のバイタルサインを正確に読み取っていることが挙げられます。
とはいえ、彼も最初からそうだったわけではなく、第1話の時点では教会から逃げるだけで、手術もしたことがなかった気弱な少年でした。ロザリィの言葉の裏に父からのメッセージを読み取り、バズが「医神アスクレピオス」となる決意を固める場面は見所だと思います。
キャラではロザリィが気になりました。背は小さいが戦闘能力が抜群、というギャップもそうですが、何故か目つきがやたら色っぽいのと網タイツというギャップもあり、何だか興味が出たという感じです。
患者を治しつつ旅をする…という話の運びをする期間は短くて、途中からは教会との対立をハードに描く作品になっていきますが、医学漫画は見ていて面白いです。作者には取材など負担が多いでしょうが、その分楽しめる作品に消化されていると思うので、個人的にはお勧めです。