ギャンブルッ!:全11巻

著:鹿賀ミツルのコミックです。サンデーで連載されていました。
あらすじは、近未来でギャンブルが合法化された世界を舞台に、その中で天才的な博才を持つ少年「京本マサル」を主人公に、様々な戦いを描いていきます。
マサルは小6ですが、急成長の中にあります。元々は父親が天才ギャンブラーでしたが、大きな賭けで敗北して行方不明になり、マサルは自身が一流のギャンブラーになって父親と対戦することを願っています。
最大の大会「ギャンブル・バーリトゥード」で優勝すれば父親の居場所を伝えると主催者に約束されてからは、その闘志も燃え上がるのです。いつもニコニコしているマサルも、戦いの場につくと豹変し、勝ちを目指します。
また、頼りがいのある相棒「ジャン」や、クラスメイトの少女「一葉」、大会の優勝候補「沢尻シュンスケ」、大会1回戦で戦った「鎌田」など、多くの人物がマサルを認めて協力者になっていきます。
この作品で面白いのは、ギャンブルという少年誌で取り上げるには変わったテーマながら、根底には「主人公の逆転勝利」があって展開が熱いことでしょうね。マサル自身も、どんな汚い手を使ってでも勝つわけではなく、基本的にはクリーンな博徒です。
しかしながら、屈することを良しとしない部分があり、戦いでは何度かそうした想いから来ると思われる強烈な采配で相手の心をへし折ります。
こういう場面を見ていると、ギャンブルにおける「勝利」ってのは何だろうなぁと哲学的なことも考えたりします。その時の勝負に勝つことなのか、相手をもう立ち上がれないくらい叩きのめすことなのか、それとも自分には勝てないという思いを埋めつけることなのか…。
ともあれ、少年誌の中では異色のジャンルということもあり、興味深い作品だったことは確かです。
登場人物の中では、沢尻が気になりましたかね。普段は軽い兄ちゃんといった感じですが、マサルと同じく場につくと鋭利な本性をむき出しにします。
絵に若干癖があると思いますが、物語としては面白かったです。こういうのも良いですね。