中原中也詩集

著:中原中也の幾つかの詩をまとめたものです。ハルキ文庫版を読みました。
私はこれまで中原中也の詩に触れたことはなく、先日、図書館に行った際に借りてきたものです。そのキッカケとなったのはQMAですが、それはおいといて。
彼自身、詩集は「山羊の歌」「在りし日の歌」を残しており、後にそれらを含む全集が何度か出版されたようです。その中には、中也が特に好んだフランスの抽象派詩人、アルチュール・ランボーの訳詩も多数含まれています。
私はこの時代の文学作品を読み漁ったわけではありませんが、中也の詩は何というか、一つ一つが「歌」なんですよね。音読すればそのままメロディがついてしまいそうなくらい、韻を踏み、強弱の区別があります。
「山羊の歌」に収録された代表作の一つ「汚れつちまつた悲しみに……」が、この一冊を通して最も「歌」だと感じた作品でした。
また中也は、このような「歌」を愛し、作り続けた人だったようです。30年という短い人生を駆け抜けるかのように、多くの詩を残した中には、考え抜かれた「歌」への拘りがあったのでしょうね。
アナーキーな生き様が歌となって流れ出していった中原中也という人物に共感は覚えないまでも、作品の持つエネルギーには感心しました。とはいえ、これからランボーボードレールなどを読み漁るほど、私は思春期でもありませんが。