ミックスベジタブル:全8巻

著:小村あゆみのコミックです。マーガレットで連載されていました。
あらすじは、実家がケーキ屋だが将来の夢は寿司職人という「明日葉花柚(あしたばはなゆ)」が、同じ追河高校調理科に通う寿司屋の息子「日向隼人(ひゅうがはやと)」と付き合うことになり、そこからお互いの想いや夢について考えていくお話です。
割と序盤のネタバレになりますが、隼人も「実家は寿司屋だが自分はパティシエになりたい」という、花柚と逆の立場なんですね。これを知った花柚の心情が揺れ動いていくのが見ものです。
ただ、こうした「夢」という大きなテーマを扱ってはいますが、日常はコメディタッチで描かれています。花柚の友達の市井ちゃん、隼人の友達の松山と4人で班を組んでおり、時には面白おかしく、時には真剣に夢やお互いのことを考えたり…という進み方です。
花柚と隼人は二人とも「実家を継ぐか、夢を追うか」が焦点になりますが、主人公ということもあってか花柚は割と序盤で道が固まります。しかし、隼人はかなり最後まで引っ張ることになります。
それでも様々な人との出会いや、職人としての技を自分の目で見ることが、二人の考え方などにも影響してきます。
あとは純粋に、花柚と隼人がラブラブでええのう、ってのもあります。夢のことで意見が衝突してしまうことも少なくないのですが、結果的により想いを深めていったりと、実際もそうだなと思う次第です。平坦な恋愛は進行しないよなぁと。
綺麗なケーキや寿司の絵が多く出てくることもあり、その部分でも楽しめました。父親たちの見事さがわかるという働きもありますが、花柚たちの成長が見られるツールとしても機能しています。
私は寿司もケーキも大好きなので、そういうこともあって楽しく読むことができました。…いや、単に料理物だからってのが土台にあるのかもしれませんが。